使用できるかん水システムはいくつかあります:
様々なかん水方法があります。フランス国立園芸産業委員会の文献に基づき、各かん水方法のメリットとデメリットをご紹介していきます。
通常、上部から一鉢々々づつかん水します。水は用土を通り下まで届きます。水は、鉢まで毛細管チューブ(ピペット ドリッパー)または用土に直接挿入されたドリッピング方式の点滴チューブによって届けられます。どちらの方法でもチューブは球根の元部と鉢の縁から中間の位置へ挿して下さい。そうすることによって、用土全体へまんべんなく水を行き渡らせることができ、なおかつ球根の元部の周りの多湿状態が避けられます。
この方法はたいへん経済的な上、生産者が株へのかん水量を把握することができます。
しかしながら、設置にはかなり長い時間を要し、設備投資額も高くなってしまいます。使用中も、チューブが水分内に含まれた無機塩により詰まっていないかチェックが必要です。
このかん水方法を使用するにあたっては、毛細管現象にて全体に水が広がりやすい用土を使用することが必要となってきます。そうしないとチューブから鉢の底に開いている穴まで水路ができてしまい、すぐ周りの用土しか濡れなくなってしまいます。保水力の低い用土はいかなる物も避けて下さい。
この方法では、水は葉の上から掛かります。資材は下記の通りです:
散水技術によっては株が必要としているだけの水分量を与えることが難しくなってきます。また、肥料をかん水用の水に混ぜ散水する場合、ベンチから水が排水される際に肥料も捌けてしまい経済的ではありません。
このような結果から、散水方式はシクラメンにとって理想的なかん水方法ではないと言えるでしょう。
このかん水方法の基本的な構造は、鉢底より水や養液を用土の毛細管現象にて水分を上まで上げるものです。水分は少しの間用土にとどまり、その後重力によって排水されます。
このかん水方法は北ヨーロッパで、特にミニシクラメン用として使用されています。
この方法では、鉢はベンチの上に置かれており、水または養液は用土の1/3または1/4くらいの高さまでくるようになっています。短い間(15分程度)浸けた後、空にし交代に排水します。トレーの底は通常ポリスチレンでできており、早く水が捌けるよう溝があるものが良いです。台に高いところと低いところの差が出ないように、脚の部分はできるだけ水平に保つように建てます。
この方法では、スペーシングなども簡単にできます。しかし、株が萎れやすくなる環境を作ってしまうこともあります。また、水を注入し排水し、とかん水にも時間が掛かってしまい、均一性にも欠けてしまうことがあります。
鉢底はわずかに傾いた溝 (1:200) に断続的に水や養液が溝の底に流れ、毛細管現象によって用土に水分が上がってきます。溝はアルミニウム製が多いです。
この方法は、溝が固定されているので柔軟性に欠けますが、株の周りの風通しが良いというメリットもあります。この場合は、水に浸けておく時間は短時間ですませなくてはなりません。
TASPOというドイツ語での園芸雑誌、1994年3月号に、このかん水方法が他のものよりも効果的であるというE.Grantzau, Beate Ter Hell著の記事が掲載されております。
鉢をかん水マット(腐敗防止加工済み、孔隙率高)または砂の上に置き、含まれた水分が毛細管現象を通じて用土へと上がっていく方法です。
これらの資材を湿った状態にしておくと、周りの環境の湿度が保てます。
または、シクラメンの鉢を直接コンクリートの地面へ置き、直接地面に水を数センチメートルほど引き、これを給水とする『洪水』方式もあります。高度な機械化、またはオートメーション化に対応しているので単一栽培に最適です。このシステムの設計及びに設置には精密工学を必要としますので、専門家に注文しましょう。
結論として、底面給水にはどのシステムでも、時間の短縮、株の均一性、自動化のしやすさ、温室の効率的利用等の数々のメリットがあります。ただし、高品質な資材を注意深く設置しなければいけない上に、生産者の技術や経験も不可欠です。このかん水方法は、シクラメン栽培に対する正しい理解にかかっているだけではなく、適切な用土を使用し鉢を正しく選択しているかどうかにも影響されます。
根呼吸を妨げないため、用土は空気含有量が高くないといけません。また、毛細管現象にて水を上げる性能も備わっていないといけません。鉢はベンチと十分な接触が必要ですが、また通気性も必要です。これを同時に実現させるには、適切な用土と適切な鉢を使用することです。
水が重力によって上から下へ流れることよりも、毛細管現象にて水分が下から上へ上がる方がコントロールするのは難しくなります。
水と肥料、両方を底面より与えている場合、15日おきに上から水を掛け、累積された塩分を流します。
最後に忘れてはならないのが、C溝、かん水マットなどの底面給水では、病気の蔓延の恐れがあるということです。
株を乗せた量りにデータ記録装置を繋げることによって、継続的に株からの水分蒸発を記録し、株の必要水分量を計算することができます。この間接的な計算方法は、株の必要水分量を計算し、かん水を自動的に開始させます。しかし、このシステムは手がかかり、設置費用が高くつきます。
現在、植物のニーズに対し温室内でかん水をコントロールする実用方法は2種類あります。
最近の研究 (Rivière et al, 1991) およびにフランス国立園芸産業委員会のアンジェ研究所では、用土水分ポテンシャルのたいへん小さな変化をも記録できる電子圧力計器の付いたテンシオメーターを使用することが可能と記されています。
かん水管理は大変重要です。なぜならば、 かん水は生育をコントロールするための重要な要因のひとつであり、かん水をうまく管理することによって生育もコントロールすることが可能になるためです。
世界中で広まってきているこのかん水方法。実はたくさんの特性があります。
シクラメン栽培にはどのマットを選ぶか?
どうやってかん水するか?
どんな用土が適するか?
鉢は?
マットの手入れは?
これらの質問の答えと便利ワザを得るために、モレルの新しい栽培情報『 底面給水マット 』をご覧ください。ここをクリックし、ダウンロードしていただけます。 |
PDF - 1 Mo |
RIVIÈRE L.M. et al. - Mesure du potentiel hydrique des substrats de plantes en pot au moyen de tensiomètres. P.H.M. Revue Horticole, n°316, Avril 1991, p. 33-39
URBAN L. - Introduction à la production sous serre : l'irrigation fertilisante en culture hors-sol (tome 2). Technique et Documentation, Lavoisier Editeur (France), 1997, 210 pages
2565, rue de Montourey
83600 Fréjus - France
Tel (輸出部代表) : +33 (0)4 94 19 73 04
Tel (代表) : + 33 (0)4 94 19 73 00
Fax : +33 (0)4 94 19 73 19