シクラメンは、水分保持力が高い上に水はけのよい用土を必要とします。
導入しているかん水システムや農場の生産管理に適している用土を使用することはとても重要なことです。
考慮しなければいけない点は、保水容量が高く、水が用土をまんべんなく通り、根への酸素供給を高めるために空気含有量が高いことなどが挙げられます。
シクラメンは、常に湿っていながらも水はけがよく、空気(酸素)含有量が高く、熱伝導率の高い用土を好みます。根や塊茎に水と空気を充分にそして均一に供給できる用土でなくてはなりません。そこで、下記の知識が必要です:
用土は株を支えるだけでなく、水と空気供給の中間地点、そして温度を上げるために役立ちます。これらの物理的性質は、質感(粒子の大きさと割合)と構造(用土内の固形原料を集める)によって成り立っています。質感は触ってみて感覚で判断することもできます。構造については、直接判断するのではなく、孔隙率を調査することによって判断できます。
この値は用土全体の体積から空洞部分の割合を計算したものです。この空洞部は空気もしくは水によって占有されます。孔隙率が高いほど、用土は空気や水が循環できるスペースを有し、根を張るのを助けます。
植物に十分な量の水を供給するための用土における容量とは、水分保持力およびにその水分を放出する力が問われます。
用土の保水容量を知ることは必要不可欠です。園芸用語では用土が保持できる最大限の水分量を貯水容量といいます。
貯水容量の大きい用土の方が株の生育には有利です。というのは、用土内の水分が少ないと株はたちまちその蓄えを使い切ってしまい、更なる生育が制限されてしまうからです。水は、用土の隙間に表面張力によって保たれます。表面張力の値は、用土全体の平均値になります。実際、水は重力によって鉢底の方に下りていきますので、上部より湿度が高くなります。
粒子の細かい用土がもっとも保水容量が大きいです。
しかしながら、用土に含まれている水分すべてが株に吸収されるわけではありません。一定の量の水は用土に含有されたままなので、根には吸収されません。これが水分含有量の生物学的閾値となります。すなわち、株が萎れてしまう際の用土内の湿度です。その上、この水分を保持しようとする力は用土の乾燥が進むにつれ高まります。細かい粒子の割合が高いと、萎れるのも早くなります。
株が吸収できる水量が実際の可給水となります。
水は、重さ(溶出や水はけ)やその他の要因(用土内での水分含有量の差による水の移動)によって用土に浸透します。溶出速度(または浸透性)は材質感と構造によって変わります。均一性が高く、丸みを帯びた素材を含む用土の方が浸透性は高くなります。大きさが不揃いで粒子が絡まっているものは不浸透性の用土となります。
空気含有量とは全体の孔隙率と水分含有量の差です。用土に水が多く含まれていればいるほど、根への空気供給は少なくなり、窒息してしまいます。シクラメンは、順調に生育、開花するためには用土内での充分な空気循環が必要となります。そこで、酸素添加と水はけ容量の適切なバランスをみつけなければいけません。
湿度と空気の勾配を用土内で逆転させると、根は水およびに空気含有量が最適な所へ生えていきます。
用土は太陽熱の放射により熱を吸収します。吸収できる熱の量は、鉢の性質、用土の色、用土の湿度など様々な要因によって影響されます。
最後に、有機物を元にした用土は『生きている』ことを忘れないで下さい。その物理的性質は、季節が変わり、かん水の影響、根が定着するなど、時と共に変わっていきます。用土の物理的性質の分析は、植物の生育の過程で用土がどのように変化していくかを知ることが出来るので大切です。そして、その分析結果に対して早い対処をすることで、株の生育に最適なコンディションを保つことができます。例えば、もし可給水が減ってきたらかん水方法を変えてみるなど別の方法を試すことができます。
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